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2017.11.05 (Sun)

散歩する侵略者

“あ”の前に、11/2に観劇したこちらを。

イキウメ公演
『散歩する侵略者』@シアタートラム

前川知大 作・演出
浜田信也 安井順平 盛 隆二 森下 創 大窪人衛
内田 慈 松岡依都美 栩原楽人 天野はな 板垣雄亮

前川知大作品は、
いくつか(『奇ッ怪』とか『プレイヤー』とか『関数ドミノ』とか)拝見しているのですが。
イキウメの公演はこれが初見です。

テレヴィでOAした『太陽』を友人が録画しておいてくれて、
それを観て・・・すげぇ!と思っていたのですよ。

本作は今秋映画化もされた、同劇団の代表作。

映画版も観たい!

そう思わせる熱量を持つ、小品ながら力溢れる作品でした。

派手な事件は起こらない・・・いや、とんでもない事態に陥ってはいるんだけどサ;;;
ほとんどの場合、実際に見せずに、
その「予兆」が漂うだけ。
匂わせる、何かがゆっくりと壊れて行っているという事実を。
じわじわと、日常の地続きとして深刻かつ甚大な非常事態が広がっていく。

戦争という「今そこにある危機」と、
宇宙人による地球侵略という「今そこにある危機どころじゃない危機」を
並行して描く。

戦争は日常だ。

目の前に迫る戦争という名のちっぽけな我の張り合いで、
肝心な“何か”を見失っちゃいないか?
宇宙人云々はともかくとしても、
もっと地球規模の、
人類の存在を脅かす“何か”が起きたとき、
人間はどうやって乗り越えるのか?

笑いごとではない。
SFに見せかけているけれど、かなりのリアリティを伴って嘘寒い。
いや本当に、笑ってる場合じゃないよ?

海の向こう側でミサイルが飛んでも、
それは私たちのリアルではない。
ぅをー!?ミサイルとか撃っちゃってマヂやべぇ!
・・・ってなもんですよ。
鼻っ面に突き付けられて初めて、現実問題として実感するはずだ。
そうなってから焦っても遅い。

「気づいたら、なんとなーく戦争が始まってた。」

恐怖だけれど、これ現実だから。
明日かも知れないから!

もう片方の危機があまりにも非現実的なので、
他方の危機がより浮き彫りになる。

だって、宇宙人による地球侵略ですよ
誰にとっても絵空事だ・・・絵空事、だよな?

人間に成りすました宇宙人は、
「言葉」ではなく「概念」を奪うという。

概念?
目に見えないもの、漠然としていて普段は意識もしないが、
ひとの根幹に係わるもの。
ひと、を、形づくる、もの。
奪われても「アイデンティティはある」というが、
その方がキツいよね?
全て忘れた方がまだマシだ。
喪失感に苦しむこともなかろうに・・・。

どーでもいーと思っていたことが、
意外と大きな位置を占めていたりして。

「の」がなくなるって、どういうこと??

・・・と思ったら、そいういうことか
だから世界が広がるのね!?
それも「自」と「他」を分ける概念だから、なるほど~。

概念を奪われるとき、ひとは涙を流す。
そのシーンの美しいこと!
何というか―判るの。
きっとこういう気持ちになるんだろうなって、伝わってくるのだ。
身体の一部がなくなる感覚。
身体が軽くなる解放感?喪失感?

あるいは寂しさ。

人間の持つあらゆる概念を奪えば奪うほど、
宇宙人は「人間らしく」なって行くわけで。

だからこそ、

「もう、判らないんだ・・・。」

このひとことが胸を打つ。

その概念を手に入れたらそれはもう、人間そのものになるんじゃないか?
それを奪ったことで知る深い悲しみ、宇宙人は慟哭する。
こんなことになるなんて、思いもよらなかったのか。
後悔?それとも・・・?

「戦争とか国家とか、そういう概念を奪ってよ!」

この台詞も響く。
宗教、国家、野心・・・これらの概念が全て人間から奪われたら、
この世から戦争はなくなるのだろうか?

いずれにしても、
宇宙人からしたらどーでもいー話だろうけど。

ただし、宇宙人は身近に、
良く見知ったひとの格好で存在しているから。

私たちは大事な概念をすでに奪われていて、
そのせいでそっちの方向に傾いているのかも?


ほら、笑えない。

テーマ : 演劇 ジャンル : 学問・文化・芸術

22:13  |  芝居道楽  |  コメント(0)  |  編集  |  Top↑

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